災害に強い家 - 生目台の家

集中豪雨
2008年8月7日
昨日、現場を見に行った折に空調換気のためのスリーブ管がセットしてあった。梁との関係がうまくいっていなかったので、今日の朝一番でその業者さんに現場に来てもらった。

朝から空模様が良くなかった。然し現場では組んである壁鉄筋の内側は既に型枠を完了してあり、今は外部側の型枠作業に取り掛かっている。塞がれてしまうとスリーブ管のセットし直しはできなくなる。急ぐ必要があった。施工図で位置を決めていたが現場で鉄筋が組みあがるとそれとの微調整が必要になってきたのだ。

設備の人に調整をしてもらっている間に雨は本降りになってきた。バケツをひっくり返したような雨だ。数時間も続いた。それでも鉄筋屋さん、型枠大工さん、設備屋さん、皆さん作業を中断しない。雨合羽を着て「嫌な雨だ」と言いながら忙しそうに動き回っていた。

私は天井の型枠からポタポタ落ちてくる雨を避けながら現場を歩き回った。傘をさしていてもびしょ濡れ状態だ。居間から見えてくる南側の景色、寝室及び和室の窓の位置、二方向の通風などをチェックしていた。内部の空間をイメージするには充分な空間が出来上がっていた。特に印象的だったのは東西そして南北とをリニアに結ぶそれそれの通風窓であった。

僅かな距離に止めてある車まで行けるような状態を見計らって退散した。



積乱雲
2008年8月13日
今日、目標どおりコンクリート打ちができた。ほとんどの会社が休み入っているなかで皆さんが働いてくれた。

お昼過ぎまでに打設は終わった。足場から見ていると2階床、1階屋根、バルコニーなどの床が田んぼのような風景になった。

九州近辺には低気圧がいくつも発生している。今日は薄日が射しているが積乱雲が次から次へと湧いて出ている。多少の雨は良いが、どうかどしゃ降りにだけはならないでほしい。コンクリート表面にクレータができるような雨は絶対に避けたい。

3時になるが今のところ大丈夫だ。明日からは適度な雨はむしろ歓迎する。型枠のサポートを外せるのはスラブで17日以上、梁で約ひと月ほど先になる。これを無視するとコンクリート強度は著しく低下する。一般的に建設会社さんは工期を早めるために早く外したがるが、それはさせてはいけないことだ。


災害に強い住宅
2008年9月12日
表題はクライアントの設計に対する開口一番のお言葉でした。
故に構造体は鉄筋コンクリート。提示された予算との戦いが始まった。

あきらめないで挑戦するものですね。建設会社を始め、協力業者さんの努力で、本当に災害に強い住宅を造ることができそうです。流石に当初の予算は少々上回ることになりましたが、価格以上のものを得ることができそうなのできっとご満足いただけるのではないかと思います。

鉄筋コンクリートの壁構造。私も現在、壁構造による集合住宅に住んでいますが、地震に気がつかないことが多いという実感があります。壁構造は力学的にもラーメン構造に比べて剛性が高いとされています。コンクリート母体の上層の屋根には鉄骨を使用しています。

高低的に低い両コアのボックス構造体を重量のあるコンクリートで造り、それに挟まれた真中の6メートルの距離を隔てた屋根架構を軽い鉄骨材で組み立て空間を創り出しています。屋根を重いコンクリート板で造ることに比べて、地震に強くなり非常に安定した構造体が出来上がるのです。そしてまたそのことにより、壁構造でも6メートルのスパンが成立したという訳です。

現場で見ていても、この組み合わせが非常に頑丈な印象を与えてくれます。最近の日本の住宅では一世代一住宅という概念が出来上がっているような気がしますが、住宅の寿命をヨーロッパのように200年、300年或いはそれ以上にして、その時代と住む人の要望に従い、インフィルだけを替えていくという住み方は住宅ローンに束縛されないだけでなく、地球環境を守ることにもつながり、そして個人の生活をもっと豊かなものにしてくれる方法なのかも知れません。


台風15号
2008年10月2日
前回の13号が過ぎ去ってから、次の台風がくるまでにはこれまで出来ていなかった屋根と外壁及びサッシを何とか完了したいと願っていた。しかし15号が来た時にはまだ硝子だけが間に合わないでいた。

現場では前夜遅くまで台風対策を施してくれた。窓にはベニヤ板を打ち付け、床にはビニールを全面張りしてくれた。台風は幸運にも勢力が990mmbにまで衰えた。朝方には雨も止んでくれた。南よりの風と大雨が同時に襲ってくることはなかったようだ。南側には大きな開口部が幾つかあったのでそこへ吹き込むと厄介だったがそれは免れた。

翌日一番で現場を見回った。東側の窓から若干の雨が入っていた以外は特段の被害は見当たらなかった。本当によかった。屋根は葺いていたが端部の雨仕舞い金物が完全ではなかったので気になっていたがそこも大事はなかった。

これからの仕上げ工事の作業は天気に左右されることはなくなった。建設会社も安心して仕事ができるでしょう。

また現場では思いがけないいろいろなことが起きるので、関係者がそれぞれの仕事に積極的に取り組む姿勢を持つことと相互の連帯感がないと、ひとつに集約していく仕事を成就させるのは難しいことだなと改めてに思う。

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