基礎工事 ‐ 生目台の家

梅雨
2008年6月26日
今年の梅雨は現場泣かせだ。いったん降り出すと止むことを知らない。
先週金曜日に捨てコン打設を行った。私が今週月曜日に行ったときには、水が溜まっていたので現場員はポンプでそれを汲み出す作業をしていた。その日の夕方もう一度行ってみたら捨てコンの上に墨出しが描かれていた。

それから昨日まで雨続き。今日は曇りであるがいつ雨が降り出すかわからない様子だ。朝一番で行ってみたら、足場組み作業をしていた。なるほどと思った。配筋組み立て作業は雨で中断され、再び水が溜まる恐れがあるが、この作業ならいつ雨が降りだしても良い。

現場でこのような事が起きる背景には次のようなことがあるのではないかと考える。第一に仕様書をよく読んでいない。第二に公共工事であれ民間であれ、そのような仕事で無事通過してきているという慣習があるのだろう。第三に一番手間のかからない方法を選びたがる。

構造設計者に話を聞いてみた。それによると仕様書に書かれているグレードが現場の標準意識として浸透している度合いは地域間に開きがあるのが現実だという。首都圏では当たり前の工事方法でも、地方ではそれに至っていない場合がある。今回は業者さんが対策に快く応じてくれたが、そのような意識で工事金額をはじき出していると思うので仕様書に書いている事とは言え、場合によっては経済的な問題に発展しかねない。根底にはひとつの現場の枠を越えた施工技術的民度とも言うべきものが潜んでいるかもしれない。

もっともこの民度と工事単価とは切り離すことができない関係にあるという事を一般ユーザー側も理解しなくてはならないと思う。地方が工事費が安いというのは物価だけの問題ではないかもしれない。デフレのように周囲の工事費が安くなるとそれに見合った施工方法が生まれてくるのだろう。我々は不適切なモグラ出現は叩いていかなければならないが、仕事に対するエネルギーを別の次元で使っていきたいというのも正直な気持ちである。


慣習
2008年6月28日
今日も曇天だ。昨日から基礎ベース筋の配筋作業に取り掛かっている。一部問題箇所を発見した。下端ベース筋の端部を立ち上げていない。現場監督さんがいなかったので、そのことを電話で確かめると現場監督さんは立ち上げなければならないという認識は持っていたようだった。要するに鉄筋業者さんだけの判断だったのだ。このように現場監督さんにその意識があっても実際の現場では反映されないこともあるのです。第三者の目で見ることが大事です。

後で監督さん共々その訳を聞くと上端筋の方を立ち下げるつもりでいたという。しかしそれでは効果はない。下端ベース筋端部の立上げでなければならない。対処方法は補強筋として同じ13φ筋の端部を立ち上げたものを下端ベース筋の間毎に100ピッチで入れることにした。


配筋検査
2008年7月2日
本日、配筋検査を行いました。数日後に予定しているコンクリート打設は基礎底盤のみですが、基礎フーチン、地中梁、及び上部の壁式構造を形成している各壁の曲げ補強筋と言われる鉄筋はこの段階で基礎まで到達していなければなりません。これらのことが設計図及び仕様書に書かれているとおりにきちんと終えているかを検査をするのが目的です。

改めて検査対象を下記すると
1.基礎フーチン及び地中梁の所要寸法
2.主筋の本数と大きさ
3.スターラップ筋の大きさとピッチ
4.鉄筋の継ぎ手長さと定着長さ
5.一番外側にある鉄筋からコンクリート表面までのかぶり寸法
6.鉄筋の端部曲げ
7.上部構造のための曲げ補強筋の大きさと本数(袖端部、L字、T字、十字交差部)
8.捨てコンからベース下端筋のかぶり寸法を確保するスペーサーブロックの寸法
9.鉄筋のJIS規格証明書
10.設備スリーブ位置

以上が検査項目です。数点の指摘箇所を除き、概ね合格していました。
指摘した事項も既に手直し完了の報告も受け、その確認も行ってきました。いよいよベースコンクリート打ちです。

本日の検査では10年瑕疵担保補償を司る県の第三者機関からの検査員も現場に訪れ、同時に検査を行うことになりました。

土間コンクリート
2008年7月23日
ここのところ、この次に始まる1階壁から2階床までに関わるいろんな施工図の検討に忙殺された。躯体図を始め、タイル割り付け、サッシ図関係などがそうだが、当初予定していたタイル寸法が変更になったため、デザイン図を見直さなければならなかった。

先日の基礎コンクリートの型枠は外され、大部分は土によって埋め戻しされた。構造的に主軸となる4.25m四方の両ウイングの基礎だけは二重スラブとなるので、そこは土の埋め戻しはないことになる。

今回の床スラブの配筋は比較的に簡単な仕組みだが、それでも鉄筋工の人には設計の内容が伝わっていなかった箇所が見受けられた。

検査の前に仕様書のポイントをいくつかピックアップしてそれを予め頭に入れておいたが、現場検査ではそのほとんどが未成になっていた。設計図は見ているが、仕様書は見ていなかったということだろう。壁構造の標準ディテールをもっと見て!!!!それともこの暑さで集中力が低下したか。実際、検査の時間だけでもこの暑さには参る。

検査が終わるまでコンクリートの手配を控えていてくれたため、鉄筋の未成工事を完成させるまでの時間はとれそうだ。


地方仕様 - 壁配筋
2008年7月31日
前に首都圏と地方との建築技術に対する認識の違いについて少し触れた。

今私が受け持っている現場では鉄筋の配筋作業を行っている最中だ。基礎からスラブそして壁へと配筋が完了するとコンクリートが打たれる。一昨日から壁の配筋作業に取り掛かった。

最初に取り掛かった壁の配筋を見に行くと再び仕様書と違うことに気づいた、以前打合せを行った内容とも違う。直ぐに元請の建設会社にきてもらい、鉄筋工さんとも協議を行った。話を聞いてみると公共工事でも同じやり方をしていてこれまでパスしてきているという。

想像ですが恐らく工事監理者は厳密にはチェックしておらず、素通り状態でパスされ、それが作業員に認可工法として受け取られる。このような現象ではないかと思う。今回問題になっているのは横筋である。壁構造の横筋は柱の帯筋に当たる。仕様書で端部の折り曲げなどを含めてそのやり方が書かれている。

鉄筋工の職人さんの話を聞いてみると、仕様書は見ておらず、地元で一般化している方法で仕事をしているという。仕様書の方法は現場では作業がしにくい。作業のしやすい方法に走るのはわかる。経済的なこともある。然しこのような認識で仕事をしているといつか大打撃を蒙る事態を自身に招くことに繋がりかねない。良かれと思っていた仕事を検査で全てやり直しということだってあり得る。仕様書に書いてあることはそれだけの力を持つ。

工事監理者と現場とのキャッチボールで工事者へのスキルアップはできると思う。これまで公共工事を含めてそれをしていなかったのではないだろうか。

建築草紙に戻る

0 件のコメント:

コメントを投稿